コーディネーション能力について

運動神経

1.運動神経を高めるためには

まず始めに前回運動神経を高める為には!?のお話をいたしました。

そこで、8つのコーディネーション能力をそれぞれ鍛えることによって、運転の3ステップがスムーズにこなせるようになり、結果的に「運動神経が良い」状態になるということでした。


スポーツをしているから運動神経が良くなるわけではなく、コーディネーション能力を鍛えることで運動神経が良くなります。

すなわち子どもがサッカーを習っているから運動神経が良くなるわけではありません。(※1)
例えば、サッカーの練習を毎週していてドリブルやボールを蹴ることなどサッカーの技術は上手になっていくでしょう。

しかしこの子はバスケットボールをした時、上手にドリブルやシュートができたりするでしょうか?テニスをした時に上手にボールを打てるのでしょうか?

もし上手にこなすことが出来ないのであれば、それは「サッカーができる状態」なだけで、「運動神経がよい」とは言えないのではないでしょうか?

専門性の高いスポーツをすることで鍛えられるコーディネーション能力もありますが、専門性の高いスポーツを行うのは運動神経を高めているのではなく、そのスポーツの能力を高めているだけということになります。

(※1しかし、専門のスポーツクラブでも様々な運動に適応できるようにコーディネーショントレーニングを取り入れているクラブもあります!)

このような専門的な動作は気の遠くなるような反復練習によって身につきます。

では運動神経自体はどのようにすれば高められるのでしょうか?

それは 運動の3ステップの感度を高めること と 基礎体力を上げること です。

つまりこの2点を別々に鍛えれば良いのです。

2.運動の3ステップ

コーディネーショントレーニングのお話にいく前にもういちど運動の3ステップを簡単におさらいしていきます。

運動の3ステップは運動が発現するまでの3つの段階のことで

①五感からの情報を脳でイメージする

②脳から身体へイメージを伝える

③身体でイメージを表現する

の3つです。

例えば

キャッチボールのボールを捕るとき

①相手の投げたボールが飛んできます➡目で見たボールが飛んでくる情報が脳でイメージされ、さらにボールを捕る為にどの筋肉を動かすかもイメージされます

②飛んできたボールを捕る為に手を出して捕るイメージを脳から動かすべき筋肉に運動の指令が出されます

③筋肉が動きボールを捕る動きをします

この3つの段階がスムースに進行されればミスや失敗が少なく運動が実現します。

このように「運動」とは「脳」で行うものなのです。

ただ、イメージをするだけの作業ならば脳で完結されます。しかし運動となるとイメージした事を筋肉に指令を出し、さらに身体で表現をしなくてはいけなく3つの事が必要なところが大変なのです。

つまり、運動の3ステップの感度を高めること と 基礎体力を上げること とは

1.イメージ力を高めること

2.イメージした事をきちんとすばやく身体へ伝えることができるようにすること

3.身体のスペックを上げること

となります。

8つのコーディネーション能力が高ければ高いほどこの3つの段階をスムースに進行させることができていきます。

3.コーディネーション能力

1970年代に旧東ドイツでスポーツ運動学者が考え出した理論です。日本語にすると「調整」「一致」といった意味になり調整力ともいわれます。

コーディネーション能力は8つの能力(ここでは柔軟性も入れています)に分けられ、「リズム能力、バランス能力、変換能力、反応能力、連結能力、定位能力、識別能力、柔軟性」に分類され、スポーツを行っている時は、これらの能力が複雑に組み合わさっています。

①定位

空間把握能力

決められた場所や動いている味方・相手・ボール等と自分との位置関係を正しく把握し認識する能力です。球技で特に求められる

②変換

敏捷性

バスケットやサッカーのドリブルのように変化する状況に反応し、瞬時に動きを切り替えられる能力。予測し先取りする力でもある。

③リズム

リズム感

タイミングを上手につかみ、耳から聞いた音や目で見た情報に合わせながらテンポよく動く能力。新体操やダンスなど伴奏に合わせて演技する種目に特に必要な能力。

あらゆるスポーツにおいても上達に欠かすことのできない基礎となります。

④反応

反射神経

かけっこのスタートなど合図に反応し素早くリアクションを起こす協応動作。

触覚や筋感覚によるものも含みます。

⑤バランス

姿勢と重心を正しく保てる能力

崩れそうになった体勢を立て直してリカバリーする際にも求められる。回転する動きやスキー、スケボーにも特に求められる。三半規管も関係します。

⑥連結

身体の協応能力

上半身、下半身、体幹といった、身体の各パーツを連携させてスムーズに動かす能力。協調性。

⑦識別

操作能力

別名「分化」とも言われ、手足を思い通りに動かす能力

この能力を伸ばすことにより、バットやボールなどの道具を思い通りに動かしたり、スムーズに走れたりする。

⑧柔軟性

7つの能力の土台となる能力で、筋肉自身の柔軟性関節の可動域双方を伸ばす必要がある。

4.コーディネーション能力が伸びる時期

コーディネーション能力は幼少期に向上するものです。
このコーディネーション能力をはじめとする神経系の能力が発達する時期を一般的に「ゴールデンエイジ」と呼び、このタイミングのトレーニングが将来の運動能力を左右するとまで言われています。

簡単にいうとゴールデンエイジとは応用力を磨くことが出来る時期を指し運動神経の向上・スポーツが上達するための大切な時期なのです。ゴールデンエイジ・運動能力向上の適齢期は3つに分かれています。

図3スキャモンの発育発達曲線の神経型をみながら時期を確認してみましょう。

神経型は、脳や脊髄、視覚器などの神経系や感覚器系の成長を示したものです。

(画像引用元:国立スポーツ科学センター)

一般型は、身長や体重、筋肉、骨格などの成長を示したものです。

生殖型は、男性や女性の生殖器、乳房、咽頭などの成長を示したものです。

リンパ型は、胸腺などのリンパ組織の成長を示したものです。

①プレゴールデンエイジ 3歳~8歳

運動の基礎となる様々な動作を経験し基本的な運動動作を身につけておくべき時期
この時期に様々な遊び・スポーツを沢山経験させることが非常に効果的。

②ゴールデンエイジ 9歳~11歳

自分が思うように体を動かせるようになる時期
プレゴールデンエイジの時期に基本的な動作を身につけると、
動きを見ただけですぐ理解・実行できるなど技術を習得できるようになります。
今までできなかったことが急に出来るようになったり、技術、センスが大きく成長する時期

③ポストゴールデンエイジ 12歳~14歳

約8割の運動神経系統は形成されている時期
運動神経の成長が止まることで短期間での成長が難しくなるので、技術レベルを維持しながら動作の質を高めるトレーニングが重要になる。

5.まとめ

第一線で活躍するスポーツ選手はコーディネーション能力が高く、その多くが子どものころに人一倍様々な遊びを体験していたり、色々なスポーツを経験しています。

この様々で沢山の経験をしているほど専門種目の技術を習得する際の伸びに違いが出てきます。

この子どもの頃の遊びやスポーツ経験により、基本的な動きを体験し、自然と神経系や感覚器が刺激されている為なのです。

次回はコーディネーショントレーニングについてです!

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